みなさんこんにちは!

今回は、回路解析を行う際にオームの法則と同じくらい重要な、キルヒホッフの法則について解説したいと思います。

 

キルヒホッフの法則には大きく分けて二つあります。それは、キルヒホッフの電流則とキルヒホッフの電圧則です。まずは、これらの説明から入りましょう(^^

 

目次

1.キルヒホッフの電流則とは【KCL

2.キルヒホッフの電圧測とは【KVL

3.例題

4.まとめ

 

1.キルヒホッフの電流則とは【KCL

 

 まずはじめに、キルヒホッフの電流則(KCL)について説明したいと思います(^^

 KCLとは、Kirchhoff's Current Lawの略で、キルヒホッフの電流則とは、これを日本語訳したものですね(^^

 キルヒホッフの第一法則と呼ばれることもあります。

 

 キルヒホッフの電圧則は、「回路の節点に流れ込む電流の総和は0」と表現されます。ちょっとわかりにくいですよね?もう少し詳しく説明しましょう。例えば、図1のような回路があったとします。

 

図1

1 キルヒホッフの電流測

 

1では、節点ABの二つがあります。それぞれの節点に流れ込む電流を赤い字節点から出ていく電流を青い字で示してみました。

 

ここで、節点に入ってくる電流の符号を正、それに対して節点から出ていく電流の符号を負としましょう。

◆節点Aについて

まずは、節点Aについて見てみましょう。

1を見ると、電源から流れてきた電流Iが、節点Aにおいて3つの電流IR1, IR2, IR3に分岐している様子が確認できますね(^^

ここで、節点A流れ込んでくる電流はIのみですね。また、出ていく電流は、IR1, IR2, IR33つです。

キルヒホッフの電流則では、回路の節点に流れ込む電流の総和は0」なのですから、式にすると、下記のようになります。

 

I-IR1-IR2-IR3=0

 

これを移項すると、下記のようになります。

 

I =IR1+IR2+IR3

 

つまり、キルヒホッフの電流則は、「節点から流れ出ていく電流の総和流れ込んでくる電流の総和に等しい」と書き換えることも可能ですね。これは、図1を見ると感覚的にわかり易いのではないのかと思います。

 

◆節点Bについて

 

 今度は、節点Aで分岐した電流が、節点Bに再び集合している様子がわかりますね。よって、節点に流れ込んでくる電流はIR1, IR2, IR33つ、節点Bから流れ出ていく電流はIのみということになります(^^

よって、節点Aのときと同じように、節点Bでの電流は下記のように表すことができます。

IR1+IR2+IR3- I =0


これも移項すれば、下記のように先ほどと同じ式を導くことができます。

I = IR1+IR2+IR3

 

これが、キルヒホッフの電流則です。

 

2.キルヒホッフの電圧則とは【KVL

 

では、次にキルヒホッフの電圧則(KVL)について説明します。

KVLとは、Kirchhoff's Voltage Lawの略で、キルヒホッフの電圧則は、これを日本語訳したものです。

 

キルヒホッフの電圧則は、「回路内の閉路において、閉路内を一巡する経路に沿って電圧降下をたどっていくとき、電圧降下の総和は0である」という法則です。簡単な回路を見てみましょう。図2を見てください。

 

図2

図2 キルヒホッフの電圧則

 

2には、電源電圧Eがあり、電源に直列に接続された抵抗Rには電圧降下VRが発生しています。

電圧降下は、通常電流と逆方向に発生します。電流の方向は、通常電源電圧の方向と同じですから、抵抗で発生する電圧降下VRは、電源電圧Eと逆向きになります。キルヒホッフの電圧則では、閉路内においてこれらの総和が等しい、と言っているのです。

 

では、キルヒホッフの電圧則の具体的な使い方を説明しましょう。まず、任意に基準とする方向を決めます。図2では、電源電圧Eと同じ方向を基準としました。それが、緑色の線で示した方向です。

※この任意の方向は、必ずしも電源電圧と同じ方向にする必要はありません。

 

よって、基準の方向と同じ方向の電圧が正、それと反対方向の電圧が負となります。今回は、電源電圧の方向を基準としていますので、電源電圧Eは正、それと反対方向の電圧VRは負ということになります。

では、キルヒホッフの電圧則に則って回路方程式を立てると、下記のようになります。

E-VR=0


移項すると、下記のようになりますね。

 

E =VR

 

2では、簡単な回路を扱いましたから、理解しやすかったのではないでしょうか(^^

 

では、次はもう少し複雑な回路を扱ってみます。図3を見てください。

 

図3

3 閉路を2つもつ回路の例

 

閉路という言葉に注意してください。

 閉路とは、回路の中の網目、つまり回路図の導線で囲まれた部分です。図3の回路はでは、2つ閉路を持っています。また、図2は閉路を1つだけ持っています。ちなみに、図1の回路は閉路を3つもっていますね。

 今回も図1のときと同じように、任意の基準の方向を緑線で示しています。これは赤い矢印の方向をと同じ方向としています。基準の方向は閉路1,2それぞれ決めて言いますが、これらは同じ方向にした方が計算がぐっと楽になりますので、基準の方向はすべての閉路を同じ方向にすることをお勧めします。

 

 では、まずは閉路1について見ていきましょう!

 

◆閉路1について

 

 閉路1緑の矢印を見てみましょう。これと同じ方向の電圧の符号を正とし、これと緑の矢印と反対方向の電圧の符号を負とします。今回は、電源電圧E緑の矢印と同じ方向なので符号が正、抵抗Rに発生する電圧降下VR1緑の矢印と反対方向なので、符号が負となります。

キルヒホッフの電圧則によれば、「閉路内の電圧降下の総和は0」なので、下記の等式が成り立ちますね!

 

E-VR1=0

緑の矢印と同じ方向の電圧Eは正、反対方向のVR1は負になっていることがわかりますね。

 

◆閉路2について

 

 では、今度は閉路2について見ていきましょう!

 図3を見ると閉路2緑の矢印と同じ方向なのはVR1反対方向なのはVR2であることがわかりますね(*^^*)

 よって、下記のような等式が成り立ちます。

 

VR1-VR2=0

 

 このように、閉路が複数あればその数だけ方程式を立てることができるのです。

 このような方程式を回路方程式といいますが、実際に例題で回路方程式の問題を解いてみましょう!

 

3.例題

 

①閉路が2つある回路



 図4に流れる電流I1,I2,I3を求めてみましょう。


図4


4 ①の回路

 

 

①の解説

 

 まず、節点と各電圧の方向を確認しておきましょう(^^

 図5を見てください。


図5


5

 

 図5では、各閉路の基準の方向を緑色の線で示しました。各抵抗の電圧降下は、抵抗に流れ込む電流と反対方向に発生するので、青い矢印のようになります。

ここで、R1R2R3で発生する電圧降下VR1VR2VR3はそれぞれ次のようになります。

 

VR1=R1I1=10I1

VR2=R2I2=20I2

VR3=R3I3=30I3

 

◆キルヒホッフの電流則から回路方程式を立てる。

 

 節点Aに入り込んでくる電流はI1で、節点から出ていく電流はでI2I3であることが図4からわかるので、下記の式を導くことができます。

 

I1=I2+I3

 

◆閉路1の回路方程式

 

 緑色の矢印を考慮して閉路1の回路方程式は下記のようになります。

 

20-10I1-20I2-30=0

10I1+20I2=-10

◆閉路2の回路方程式

 

 同じようにして、閉路2の回路方程式を立てると下記のようになります。

 

30+20I2-30R3-40=0

20I2-30I3=10

 

◆回路方程式を解く

 

 これまでに、次のように3つの回路方程式を立てることができました(^^

 

I1=I2+I3 ①

10I1+20I2=-10 ②

20I2-30I3=10 ③

 

未知数はI1,I2,I33つですので、3本の方程式があれば求められますね(*^^*)

では、計算していきましょう!

 

式をみると、I3は消去できそうですから、①の式を使って③からI3を消去して、先にI1,I2を求める方針で行きましょう。

 

①をI3の式に書き換える。

 

I3=I1- I2 ①

 

③に①を代入する。

 

20I2-30(I1- I2)=10

-30I1-50I2=10 ③

 

②×3と③を連立させてI1,I2を求める。


1-1

これを解くと、I1およびI2は下記のように求まります。

1-2



これらを①に代入するとI3が求まりますから、解答は下記の通りになります。

1-3

②閉路が3つある回路

 図
6の回路に流れる電流I1,I2,I3を求めてみましょう。

図6

6

 

 ②の解説

 

  では、解説をします。まずは節点と各電圧の方向の確認をしましょう。今回も、電源電圧と同じ方向を正方向として考えたいと思います。図7を見てください。

図7

7

 

 ◆キルヒホッフの電流則を用いて回路方程式を立てる。

 

 今回求めるのは、赤い字で示した3つの電流I1,I2,I3ですから、R1,R3に流れる電流も

I1,I2,I3で表してみましょう(*^^*)

・抵抗R1に流れる電流I

  図7を見ると、抵抗1に流れ込む電流は、Iであることがわかります。ここで、節点Aを見てみると、節点Aに入り込む電流はI,節点Bから出ていく電流はI1R3に流れる電流であることがわかります。

   ここで、節点Bに注目すれば、抵抗R3に流れていく電流はI2+I3であることがわかります。

   よって、電流Iは下記のように表すことができることがわかります。

 

I=I1+I2+I3

  

   ・抵抗R3に流れる電流

   上記で示した通り、下記のように示すことができます。

 

I2+I3

 

 

 

◆閉路1について

 

 閉路1には電圧が3つあります。

 

  ・電源電圧E=100[V]

 

      当然ながら閉路1の緑の矢印と同じ方向なので、符号は正です。

 

  ・抵抗R1で発生する電圧VR1

 

   抵抗R1に流れる電流はI=I1+I2+I3ですから、電圧降下VR1は下記のように表すことができます。

VR1=R1(I1+I2+I3)=10(I1+I2+I3)

  

  この電圧は、電流Iと逆向き、すなわち緑色の矢印と逆向きなので、符号は負になります。

 

    ・抵抗2で発生する電圧

 

    抵抗R2に流れる電流はI1ですので、発生する電圧VR2は下記のように示すことができます。

VR2=R2I1=40I1

   

この電圧は、I1と逆方向に発生します。ここで、緑色の矢印と比較すると反対方向になるので、符号は負になります。

 

  これらを踏まえると、閉路1の回路方程式は下記のようになります。

 

100-10(I1+I2+I3)- 40I1=0

 

 ◆閉路2について

  閉路2には電圧が3つあります。

 

  ・R2に発生する電圧降下VR2

      先ほどと値は同じですが、閉路2の緑の矢印と同じ方向なので、符号が正になります。

 

R3に発生する電圧降下VR3

   R3に流れる電流は(I2+I3)ですから、電圧VR3は下記のように表すことができます。

 

VR3=R3(I2+I3)=20(I2+I3)

 

  R4に発生する電圧降下VR4

 

      R4に流れる電流はI2ですから、電圧は下記のように求めることができます。

 

  よって、閉路2の回路方程式は下記のようになります。

 

VR4=R4I2=50I2

   この電圧は、閉路2緑の矢印と反対方向なので、符号は負になります。

 

40I1-20(I2+I3)-50I2=0

 

 ◆閉路3について

 

  では、閉路3について見ていきましょう。閉路3には電圧が2つありますね。

 

 ・R3に発生する電圧降下VR3

  

  閉路3緑の矢印と同じ向きですので、符号は正です。

 

 ・抵抗R5に発生する電圧VR3

 

  抵抗R5に流れ込む電流はI3ですから、ここに発生する電圧降下は下記のようになります。

 

VR3=R5I3=30I3

 

 これは、緑の矢印と反対方向ですから、符号は負になります。

 

 これらを踏まえて閉路3の回路方程式を立てると、下記のようになります(^^

 

50I2-30I3=0

 

 ◆回路方程式を解く

  ここまでで、次の3つの回路方程式を導出することができました。

 

 100-10(I1+I2+I3)- 40I1=0 ①・・・閉路1

40I1-20(I2+I3)-50I2=0 ②・・・閉路2

50I2-30I3=0 ③・・・閉路3

未知数は3つですから、3本の方程式があれば求められますね(*^^*)

これを解くと、I1,I2,I3はそれぞれ下記のように求めることができます。

 

I1-3.37[A]

I22.09[A]

I33.49[A]

 

②の解説は以上です

 

 

4.まとめ

 

 ・キルヒホッフの電流則(KCL)は、「ある節点において、入り込んでくる電流と、出ていく電流の総和は0

 ・キルヒホッフの電圧則(KVL)は、「閉路内において、電圧降下の総和は0

 ・KVLで、電圧の符号は任意で決めた基準方向によって決まる。