皆さんこんにちは!
これまで、下記の記事でラプラス変換や部分分数分解を紹介してきました。
積分やラプラス逆変換で重要な【部分分数分解】を解説してみた
今回は、いよいよラプラス変換を用いて微分方程式を解いてみましょう!
目次
1.今回扱う例題
2.解説
1.今回扱う例題
下記の微分方程式について、それぞれf(t)を求めてください。

2.解説
①の解説

◆両辺をラプラス変換する
まずは、この微分方程式をラプラス変換しましょう。下記の記事にラプラス変換表を用意していますので、ぜひ参照してみてください(*^^*)
それぞれの項をラプラス変換すると、下記のようになります。
※「ラプラス変換表上のNo」は、上記の記事のラプラス変換表でのNoを示しています。
よって、この方程式のラプラス変換は下記のようになります。


よって、これらを代入して計算していきます。

この式は、ラプラス逆変換してtの関数に戻す必要があります。しかし、残念ながらこのままラプラス逆変換することはできません。よって、部分分数分解をします。
先ほどの分数は、下記のように部分分数分解ができます。

右辺第二項のように、分母が2次式の時は、分子をsの一次式にしなければなりません。
◆代入法で最後まで求める
それでは、Aを求めます。分子がAの分数は、s=0の時に∞になります。式1の分数で、Aの分数の分母になっている部分を隠してs=0を代入しましょう(^^♪

次にBおよびCを求めます。右辺第二項、つまり分子がBs+Cの分数は、s=ルート-1の時、∞になることがわかります。これは虚数ですから、jを用いて表します。
それでは、式1のうち、Bs+Cの分数の分母になっている部分を隠してs=jを代入します。
ここで、複素数の性質から、両辺の虚部と実部の係数同士は等しくなるので、B=1,C=0と求められます。よって、式1は下記のように部分分数分解ができます。

◆ラプラス逆変換する
では、これをラプラス逆変換します。再びラプラス変換表を使用します。
①の解説は以上です。
②の解説

◆両辺をラプラス変換する
では、②の解説に移ります(^^♪これも、ラプラス変換表を用いて、ラプラス変換していきましょう!表3 各項のラプラス変換

よって、微分方程式のラプラス変換は下記のようになります。

赤で示した初期値は、問題文の条件が設定されているので、代入して計算していきましょう。
これをラプラス逆変換すればf(t)が求まるのですが、このままではできませんので、例によって部分分数分解をします。とりあえず、AとBを使って表現しましょう。赤い字の項の部分分数分解のやり方は覚えておきましょう(^^♪

◆代入法で途中まで求める
まずは、Aを求めます。分子がAの分数は、s=0の時に∞になります。分解前の分数で、Aの分数の分母になっている部分を隠してs=0を代入しましょう(^^♪

Aが求まりました(^^♪
◆残りの係数は通分して分子を比較して求める
次に、BおよびCを求めましょう!ただし、Bs+Cの項の分母は2項でないため、代入法を使うのは難しそうです・・・。
こんなときは、分解した分数を通分しましょう(^^♪

この式の分子は、もとの分解前の分子と等しいわけですから、下記の式が成り立ちます。

ここで、両辺で次数が同じ項の係数同士は等しいですから、下記の式が成り立ちます。

Aは代入法により既に求まっています。①から、Bは2分の3、②からCは2分の1と求まりますね。まとめると下記のようになります。

よって、部分分数分解は下記のようになります。

◆ラプラス逆変換する
では、ラプラス変換表を用いてそれぞれラプラス逆変換していきましょう。
表4 各項のラプラス逆変換
②の解説は以上です。
③の解説

◆両辺をラプラス変換する
では、③の解説に移ります。例によって、まずは両辺ラプラス変換しましょう。
表5 各項のラプラス変換
よって、方程式は下記のようにラプラス変換できます。

初期条件を代入して、計算しましょう。

これをラプラス逆変換すればいいのですが、このままではできませんので、部分分数分解しましょう。
とりあえず、A,B,C,Dを用いて表してみます。

この分解方法は、特性方程式が3次式以上(2次式+1次式以上の組み合わせ)の分数と、()のn乗の時の分解方法を組み合わせたものですね。これらについては、下記の記事に詳しく書いています。
◆代入法で途中まで求める
では、A,B,C,Dをもとめましょう。
A,B,Dは代入法で求めることができます。
まずはA,Bを求めましょう。
左辺第一項、As+Bが分子となっている項は、s=jの時に∞になることがわかります。
ですので、分解前の分数の分母のうち、As+Bの分母となっている部分を隠してs=jを代入しましょう。

ここで、複素数の性質から両辺の実部と虚部同士はそれぞれ等しいので、AとBは下記のように求まります(^^♪

分解した後の式で、Dが分数となっている項はs=-1のとき、∞になることがわかります。
ですので、分解前の分数の分母のうち、Dの分母となっている部分を隠してs=-1を代入しましょう。

これで、Dが求まりました。
◆残りの係数は通分して分子を比較して求める
では、残りのCを求めます。
残念ながら、このCは代入法で求めることはできませんので、A,B,C,Dで表した分数を通分してその分子を分解前の分子と比較して求めます。
では、通分しましょう。

実は、A=0というのはすでにわかっているので、それを考慮すればもっと簡単に計算できましたが、今回は正直に全部計算してみました(*^^*)
ここで、分子に注目しましょう。
この分子は、分解前の分子と等しいはずですから、下記の等式が成立します。

ここで、両辺の次数が同じ項の係数同士は等しいという性質から、下記の等式がそれぞれ成立します。
A+C=0①
2A+B+C+D=1②
A+2B+D=1③
B+C+D=1④
ここで、A,B,Dはすでにわかっていますから、①よりC=0とわかります。
また、④にB,Dを代入すればCもわかりますので、A,B,C,Dはそれぞれ下記のようになります(*^^*)

◆ラプラス逆変換する
さて、ここで終わりではありません。最後の工程、ラプラス逆変換が残っています。ラプラス変換表を見ながら、各項ラプラス変換しましょう(^^♪表6 各項のラプラス逆変換

これで、③の解説は以上です(*^^*)