みなさんこんにちは!
今日は、少し難しい積分にチャレンジしてみましょう!
電磁気学や回路理論のフーリエ解析では、積分が自在にできることが非常に重要です。
以前書いた記事で、積分とは、面積を求めることであると書きました。この記事では、複雑な図形の面積を、積分を用いて面積を求める方法を紹介します(*^^*)
目次
1.平面上の複雑な図形の面積を求める
2.3次元の積分~球体の表面上の四角形の面積~
3.まとめ
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1.平面上の複雑な図形の面積を求める
例えば、こんな形の図形があったとします。

図1 平面上の複雑な図形
この図形の青い部分の面積Sを求めてみましょう。結構複雑な図形ですね。図形の面積を使って力業で求められなくもないですが、ここは積分を使っていきましょう!

図2 分割した図形
さて、図2のように分割しました。縦軸の長さは、各縦線の上に書いておきました。また、横軸の長さは、原点からの距離を定規で大まかに図って入れています(*^^*)これらは、どのような基準で分割したかわかりますか?
そう、これは関数が変わっている地点で区切っているのです!今回の場合は、関数が直線ですので、傾きや切片が異なれば区切っているわけですね。なぜこんなことをするのでしょうか。それは、積分する際に、どの区間がどんな関数になっているかが知りたいからです。1つの区間に全く同一の関数という風に区切っていくと、積分しやすくなります。逆に言えば、いつの区間に種類や傾き、振幅等の違う複数の関数が混ざっていると積分できません。
図2をもう一度見ましょう。面積Sは小さなS1,S2,S3,S4,S5,S6に分割しましたので、全体の面積Sは下記のように表せますね(^^♪
S=S1+S2+S3+S4+S5+S6
まあ、ただ小さな面積たちを足し合わせただけです(^-^;
では、小さな面積たちはどのように求めればよいかを見ていきましょう。
まずは、S1についてです。
S1の区間は、原点から1.0[cm]ですね。まずはこの区間の赤線の関数を求めましょう(^^♪
まずは下記の通り傾きa1を求めます。

また、切片は図2から1.5とわかりますから、s1の区間の関数f(x)1は下記のようになるとわかりました。
f(x)1=2x+1.5
同様に各区間ごとの関数を求めると下記のようになります。
面積 |
Xの区間 |
関数 |
S1 |
0<x≦1.0 |
f(x)1=2x+1.5 |
S2 |
1.0<x≦1.5 |
f(x)2=-2.6x+6.1 |
S3 |
1.5<x≦3.0 |
f(x)3=0.5x+1.4 |
S4 |
3.0<x≦4.0 |
f(x)4=3.0x-6 |
S5 |
4.0<x≦4.5 |
f(x)5=-3.3x+19.3 |
S6 |
4.5<x≦6.5 |
f(x)6=x-3.5 |
S1は、この関数f(x)を0から1の区間で積分すればいいので、下記のようになります。

これで、区間の関数を積分すれば小さな面積は求められることがわかりました。よって、全体の面積Sは各区間の積分の合計となり、次のように求めることができます。

このようにして、各区間ごとに関数を求め、それらの積分結果を足し合わせることで面積Sを求めることができました(^^♪
それでは、もう一問挑戦してみましょう!
2.3次元の積分~球体の表面上の四角形の面積~
では、今度は下記のように球の表面にある青色の長方形の面積を求めましょう!

図3 球面上の四角形
絵が下手で申し訳ないです(^-^;が、球面に沿った四角形だと考えてください。毎回ペイントで書いているんですが、いいソフトあったら是非教えてください(^-^;笑
さて、ちょっと難しそうですが、ひとつひとつ考えていけば簡単ですよ!
☆球面座標系を使ってみよう
この形、球面座標系に似てますよね?そのとおり、球面座標系を使うのが便利そうです(^^♪
では、球面座標系は下記の記事で説明していますので、わからない方はぜひ読んでいただけるとわかりやすいと思います(*^^*)
図3の青いエリアは長方形ですから、短辺と長辺がひとつずつわかれば面積が求まりますよね?
と、いうことで、それぞれ色付けしてわかり易くしてみます。

図4 球面上の四角形
わかり易くなりましたね。さらに、図4の青線と赤線をそれぞれφとθを使って表してみましょう。図5を見てください

図5 球面上の四角形
まず、青い線の長さを求めましょう。球の半径はrです。青い線は半径rで角度がφ[°]の扇の弧にあたりますから、下記の式で求めることができますね。
青い線の長さ=2πrφ
同様に、赤い線の長さは角度がθで半径がrの扇形の弧と同じなので、下記のように求めることができますね。
赤い線の長さ=2πrθ
よって、微小な角度dφとdθを用いて、求める面積と相似な微小面積sは下記のように示すことができます。
微小な面積s=青い線×赤い線=rdφ×rdθ=4π^2r^2dφdθ
これを積分すれば全体の面積Sが求められますから、その式は下記のようになります。

積分範囲のφおよびθを具体的な値にすれば、面積は求められるのですが、、、作図の都合上勘弁してください(^-^;笑
ですが、一般式で面積を表現できるのも、積分の良いところですが、今回はこれで答えということにしておきましょう。
3.まとめ
・積分を用いて、平面上の複雑な図形の面積を求める場合は、積分しやすい(関数が同じ)区間ごとに分割して関数を積分し、足し合わせて求める
・球面上の四角形の面積は、角度と半径を使って微小面積を表し、それを積分する。
今回扱う積分の問題は以上です(*^^*)
一見複雑な図形でも、ひとつひとつ見ていけば簡単だったでしょう(^^♪
電磁気学では、特に3次元の積分、また、波形のフーリエ解析では平面上の複雑な関数の積分がよく出てきます。幾何学的な意味で積分を理解することが大切ですね(*^^*)
もしわからないところや、もっと知りたいところがあれば、コメント欄までお気軽にどうぞ!
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです(^^)/