みなさんこんばんは!
今回は電磁気学で重要な3つの座標体系の一つ、球面座標系について紹介いたします。
ちなみに、あと2つの座標体系については下記の記事で紹介していますので、ご確認ください(*^^*)
電磁気学のための座標系①直交座標系(デカルト座標系)
電磁気学をのための座標系②円筒座標系
目次
1.球面座標系の座標の表し方
2.直交座標系への変換①x方向座標
3.直交座標系への変換②y方向座標
4.どのようなときに球面座標体を使うのか?
5.まとめ
1.球面座標系の座標の表し方
まず、球面座標系を図1でみてみましょう。

図1 球面座標系
球面座標系では、点Pの座標は半径rと二つの角度θとφで(r,θ,φ)と表示されます。
球面座標は、原点を中心に点Pまでの距離を半径とする球を使って座標を表します。円筒座標系の場合は、z軸に沿って伸びる円筒を考えましたから、z方向の座標はそのままzで表したのでした。それに対して、球面座標系では球を使って座標を考えますので、軸に沿って伸びる部分はありません。球面に沿って変化していきます。そのため、2つの角度を使って座標を表すのです。
2.直交座標系への変換①x方向座標
球面座標系についても、直交座標に変換することができます。それでは、まずはx方向の座標について見ていきましょう!
図2で確認してみましょう。

図2 x方向座標
図2において、X軸方向の座標x’は、下記のように求めることができます。
x’=rsinθcosφ
では、上記の式について解説しましょう。
上記のx’の式は、実は下記のように書き換えることができます。
x’=斜辺(図2の緑色の線)×cosφ
これは、図2で緑の線と青の線で構成する鋭角がφの直角三角形の底辺がx’であることから、cosφに緑色の斜辺を乗ずることで求めることができますね(*^^*)
では、緑の線の長さはどのようにすれば求めることができるでしょうか?
図2を見ると、緑の線は、鋭角がθの直角三角形の対辺に等しいのがわかるでしょうか?鋭角がθの直角三角形の場合、対辺はsinθに斜辺の長さを求めることができます。ここで、この直角三角形の斜辺の長さは、原点から点Pまでの距離に等しいので、半径rですね。これを考慮すると、下記の式が得られます。
緑の線=rsinθ
これが、鋭角がφの三角形の斜辺と同じになりますから、先ほど示した通り、x方向の座標の式は下記のように得られるのです。
x’=rsinθcosφ
3.直交座標系への変換②y方向座標
今度はy方向座標について考えてみます。
図2を見ると、青色の線はx軸に直角なので、y軸に等しいことがわかりますね。ということは、この青色の線の長さがy方向座標y’となります。青色の線は、鋭角がφの直角三角形の対辺ですから、sinφにこの三角形の斜辺をかければ算出できますね。この三角形の斜辺は緑の線ですから、その長さはもうすでに算出x方向座標を求める際に算出してありまって、rsinθでした。これを利用しましょう!よって、y方向座標y’は下記の式で表すことができます。
y’=rsinθsinφ
4.どのようなときに球面座標体を使うのか?
球面座標系では、円筒座標系と異なりxy方向の角度(図1,2のφ)のみならず、z方向の角度(図1,2のθ)も考えることができますので、360°角度を考慮する必要があるときに役に立ちます。
電磁気学の場合であれば、電荷が一つだけあり、その周りのある点での電界や電位を計算する場合等です。例えば、図3のような場合です。

図3 球面座標体の活用例
図3のような場合、半径rや角度θ、φを用いて、x、y、z方向の座標を表し、r、θ、φを変数として積分することで、電界や電位を求めることができます。
ただし、「電磁気学をのための座標系②円筒座標系」で示したような、「ケーブルなどのように、電荷が線状に分布している」場合については球面ですべての電荷を囲むことが難しいので、この座標体系は使いづらいです。
5.まとめ
・球面座標体では、座標を(r,φ,θ)と示す。
・直交座標系へ変換すると、座標は(rsinθcosφ,rsinθsinφ,rcosθ)と示される。
・電磁気学では、一点の電荷についての問題で、球面座標系を用いることが多い。
以上で、球面座標体についての説明を終わります。これで、電磁気学に必要な3つの座標体系はすべて網羅したこととなります。お疲れ様でした。
わからないところ、もっと知りたいことなどありましたら、ぜひコメント欄等に書いていただければと思います(*^^*)